様式第5 号(第 9条関係)
論文内容の要旨
報告番号
氏名
菅原裕
Plaque Modification of Severely Calcified Coronary Lesions by Scoring Balloon Angioplasty Using
Lacrosse Non-slip Elemen
t: Insights from an Optical Coherence Tomography Evaluation
(和訳)
冠動脈高度石灰化病変に対するスコアリングバルーンラクロス
Non -Slip Element を用い
た冠動脈形成術一光干渉断層法による有用性の評価
論文内容の要旨
背景
冠動脈インターベンションにおいて、高度石灰化プラー クを有する冠動脈病変の拡張は時に困難を
伴う場合がある。高度石灰化病変をバルーンによる前拡張なしにステントを留置するとステント拡
張不全やステント内血栓症の原因となる。 スコアリングバルーンであるラクロス
Non-Slip
Elemenet (NSE)
は高度石灰化病変を拡張するのに適しているといわれている。光干渉断層法 (OCT) は
冠動脈プラークの組織性状を明瞭に評価出来る。今回、我々はラクロス
NSE で有効な前拡張可能な
石灰化病変の特徴を明らかにするために、
OCT を用いて検討を行った。
方法
ラクロス
NSE を用いて冠動脈形成術を施行した、高度石灰化病変 32 例に対しに対し OCT を行い、
術前後の病変を評価した。対象冠動脈プラークのうち、内腔断面積が最も小さ い部位で、石灰化プ
ラークが完全に離断しているものを拡張成功と定義した。高度石灰化プラークを有する
172 断面を
評価対象とした。
結果
ラクロス NSE による拡張で全体の 68 出にあたる 117 断面で拡張成功がみられた。拡張不成功群と比
較して拡張成功群は石灰化プラークの厚みが有意に薄かった
(p く0.001) 。石灰化プラークの角度は
拡張成功群の方が大きい傾向があったが有意差はみられなかった
(p=0.08) 。拡張不成功群は拡張成
功群と比較して血管内腔に向かつて凸型の石灰化が多く みら れた
(p く0.001) 。対象プラークの 内腔
断面積が最も小さい部位部分において
26 病変 (8 1. 3略)がラクロス NSE での拡張が得られた。 内腔が
最も小さい部位でも拡張成功群と不成功群を比較すると、拡張成功群は石灰化の厚みが薄かった
(p くO. 001) 。石灰化の角度は拡張成功群と不成功群で、差はなかった (p=O. 39) 。内向きに凸の石灰化
は拡張不成功群で有意に多くみられた
(p=O. 05) 0 ROC 曲線解析によれば、ラクロス NSE による冠動
脈拡張が得られるカ ッ トオフ値は石灰化の厚さが 56511m 以下であった。また,石灰化の角度が
270 。以上の病変に限定すると、そのカ ッ トオフ値は石灰化の厚さが 53511m 以下で、あった。
結論
冠動脈プラークの石灰化の厚みと石灰化の形態がラクロス
NSE による冠動脈拡張成功の予測に有用
であった。石灰化の厚みが
56511m 以下で、血管内腔に向かつて凸ではない形態の石灰化であればラ
クロス
NSE による冠動脈拡張成功が得られる可能性が高い。